Literatur

Hirsch und Hinde -雄ジカと雌ジカ-

 10世紀に上部ドイツ語(アレマン方言?)で写本の欄外に記された短い詩です。
 この短い詩で完結したテキストであるのか、あるいは何か別の詩の一部であるのか、判明していません(Müller: 2013, S. 184)。
 舞踏(雄ジカの踊り)の際に、相手への誘い文句であるとか、「愛のささやき」であるとかなどの見解があります。1,U. Schwab und C. Edwards favorisieren den lange schon bestehenden Vorschlag, dass die Verse bei der Aufführung eines Hirschtanzes vorgetragen wurden: C. Edwards sieht darin ein aufforderndes „Liebesgeflüster“ (S. 200), U. Schwab eine Aufforderung beim Wechsel des Reigentanzpartners.' (Müller: 2013, S. 184) .


Abb. Brüssel, Königl. Bibl., ms. 8860-67 (Kat.-Nr. 1351). Bl. 15v.

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St. Galler Schreibervers – St. Gallenの写字生の詩

 St. Galleの写字生が写本の終わりに残したアレマン方言の(脚韻1Vgl. Heusler (1956, §. 536), 高橋 (2003, S. 383) .)詩です。写字生がラテン語でこういった苦労や喜びの一言を残す事はそこまで珍しい事ではありませんが、古高ドイツ語においては非常に珍しい書き残しでしょう。
 850年頃あるいはそれより後に記されたと見積もられています (Klein: 2017, S. 94) 。


Abb. : St. Gallen, Stiftsbibliothek, Cod. Sang. 623, p. 209 – Pompeius Trogus / Justinus Junianus, Historia

St. Gallen, Stiftsbibliothek, Cod. Sang. 166, p. 314 – Fünfter Band eines sechsbändigen Kommentars des heiligen Augustinus zu den Psalmen

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St. Galler Spottvers – St. Gallenの風刺詩

 アレマン方言で9世紀頃に記述したとされる、当時の風刺詩(脚韻)です。余白を使った羽根ペンの試し書きと見られています (Steinmyer: 1916, S. 401; 高橋: 2003, S. 383) 。
 Liubeneという男が彼の娘の婚姻のために白ビール(Weizenbier)を作り、そして娘を嫁がせますが、Starzfidereという彼女を娶った男が後に(おそらく娘が不妊1高橋(1990, S. 100)では「彼女が不妊症であることが分かったため」としているが、高橋(2003, S. 384)では「彼女が処女でなかったことが分かったため」としている。であったために (Stephan: 2007, S.386) )離別して、父へ娘を返してしまう内容です。

Abb. : St. Gallen, Stiftsbibliothek, Cod. Sang. 30, p. 1 – A copy of three Old Testament books (Proverbs, Ecclesiastes, Song of Songs)

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Ad equum errehet / Pariser Pferdesegen

「パリの馬の呪文」(Pariser Pferdesegen)はラインフランク語で記され、記された時期は12世紀と見積もられています。しかし冠詞がないmanやhros: handonが頭韻であることから、呪文自体の起源はこれより更に古く(Schauffler: 1912, S. 49)、またtrohtin, riten, tuの語形から、アレマン語が起源と考えられます。(高橋: 2003, S. 358)

Abb. Paris, Bibl. Nationale, Ms. nouv. acq. lat. 229. Bl. 10r

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Zürcher Hausbesegnung – チューリッヒの家の呪文

 Alemannische HausbesegnungあるいはSt. Galler Haussegenとも呼ばれる(Nievergelt: 2013, S.534)アレマン方言で記された、家を悪魔に対して聖別を行なう為の祈祷文です。非常に簡潔なテキストですが、どの様に翻訳を行なうべきか、またchnospinciは何を意味するのか、現在まで研究に決着がついていません1Vgl. Nievergelt(2013, S.534ff.).。10世紀頃の成立とされています。

Abb.: Zürich, Zentralbibl., Cod. Car. C 176. Bl. 154r.

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Der Trierer Gregoriusvers – トリールのグレゴリウス詩

 1000年頃に成立したとされるラインフランク方言(あるいはモーゼルフランク方言?)で記された短い脚韻詩です。高橋(2003, S.357f.)は内容を「教皇グレゴーリウス1世の言葉の脚韻訳」としています。


Abb. : London, British Libr., MS Add. 10940. Bl. 5v.1画像はhttps://handschriftencensus.de/5101より。

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